メインテナンスの目的
メインテナンスは、歯と口の健康を保つために定期的に受けるべきケアや予防措置のことを指します。一般的なメインテナンスのスケジュールは、一人一人の状態や必要性によって異なる場合がありますが、通常は3〜6ヶ月に1回の定期検診とクリーニングが推奨されます。
口腔健康の評価
歯科医師や歯科衛生士が口腔内の健康状態を評価し、むし歯や歯周病などの問題を早期に発見します。定期的な検診により、早期治療や予防策を講じることができます。
クリーニング
歯科医師や歯科衛生士が歯垢や歯石を取り除き、歯の表面をきれいにします。これにより、歯周病や歯肉炎のリスクを低減し、口臭を改善することができます。
レントゲン撮影
必要に応じて、レントゲン撮影を行い、歯や歯茎の状態をより詳しく評価します。これにより、見えない箇所の問題や歯の根の状態を把握することができます。
個別のアドバイスと予防策
歯科医師や歯科衛生士は、口腔衛生の改善や予防法についてのアドバイスを提供します。ブラッシングやフロスの正しい方法、口腔ケア製品の選び方などの情報提供を行います。
メインテナンスは、歯の健康状態を維持し、歯周病やむし歯の予防に役立ちます。定期的なメインテナンスを受けることで、早期に問題を発見し治療することができるため、より健康な口腔状態を維持することができます。歯科医師や歯科衛生士と協力して、自分の口腔健康をしっかりとケアしましょう。
クリーニング(スケーリング)について
スケーリングは、歯科衛生士や歯科医師によって行われるプロフェッショナルな歯のクリーニングです。スケーリングでは、歯の表面や歯と歯茎の境目についた歯石や歯垢を取り除きます。
スケーリングの重要性
歯垢は、食べ物の摂取や口腔内の細菌によって形成されるぬめりのある膜状の物質です。歯垢は歯ブラシやフロスで取り除けますが、徐々に硬化して歯石となります。歯石は歯垢が歯の表面に付着し、時間の経過とともに硬くなったもので、通常の歯ブラシやフロスでは取り除くことができません。
スケーリングで、歯石や歯垢を除去することで、歯周病のリスクを軽減し、歯と歯茎の健康を維持することができます。歯石や歯垢は歯茎の炎症や出血、口臭の原因にもなるため、スケーリングによるクリーニングは口腔健康の維持にとても重要です。
スケーリングの期間の目安
歯科医師が、患者さんの個別の状況に応じてスケーリングの必要性や頻度を判断します。一般的には、定期的なメインテナンスの一環として、3〜6ヶ月に1回のスケーリングが推奨されます。しかし、歯の状態や歯周病のリスクの程度によっては、より頻繁なスケーリングが必要な場合もあります。
歯石やバイオフィルムについて
歯石とは
歯石は、口腔内で形成される硬い堆積物で、歯垢が時間とともに硬化したものです。歯垢は、細菌の活動によって歯の表面に付着する薄い膜状の物質で、白色をしています。歯石は歯垢が長期間口腔内に滞留して硬化し、歯の表面にくっついてしまったもので、歯ブラシやフロスなどの通常の歯磨きでは取り除くことができません。
歯石は、歯と歯茎の境目や歯と歯との間の溝など、歯の表面に付着していることがよくあります。歯石は表面が粗く、細菌や歯垢が付着しやすいため、口腔内の環境を悪化させる要因となります。また、歯石が歯茎に接触することで歯周ポケットが深くなり、歯周病の原因にもなります。歯周病は歯とその周囲の組織(歯茎、歯槽骨など)の炎症状態であり、放置すると歯を失う原因となる可能性があります。
バイオフィルムとは
バイオフィルム(生物膜)は、細菌や微生物が歯の表面や他の物体に付着して形成する膜状の集合体です。バイオフィルムは口腔内の様々な場所に形成され、歯垢の主要な構成成分でもあります。歯垢はバイオフィルムが歯の表面に付着したもので、このバイオフィルムの中には口腔内に存在する様々な種類の細菌が含まれます。
歯垢(バイオフィルム)を除去する方法
歯磨き
正しい歯磨きの方法と適切な歯ブラシを使用することは、歯垢を除去するための基本です。歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目や歯の表面に垂直に当て、軽い圧力で歯垢を取り除きます。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシや歯間クリーナーを使って歯と歯との間の歯垢も除去することが重要です。
フロス
歯ブラシでは届きにくい歯と歯との間の歯垢を除去するために、フロスを使用することが効果的です。フロスを歯と歯との間に挟み込み、歯茎に当たらないように優しく動かすことで歯垢を取り除きます。
口腔洗浄液
口腔洗浄液(マウスウォッシュ)を使用することで、口腔内の細菌の成長を抑制することができます。ただし、口腔洗浄液は追加の歯磨きやフロスの代わりにはならず、これらと併用することが効果的です。
プロフェッショナルなクリーニング
歯科医師や歯科衛生士による定期的なクリーニングにより、自分では取り除けない歯垢や歯石の除去が可能です。スケーリングやポリッシングなどの手法を使用して、歯の表面や歯茎の周りの歯垢・歯石を効果的に除去します。
歯垢の除去には、毎日の正しい歯磨きやフロスの使用が非常に重要です。また、定期的な歯科検診とクリーニングを受けることで、プロフェッショナルなケアを受けることも推奨されます。これらの方法を組み合わせて、バイオフィルムの除去と口腔の健康維持に努めましょう。
ご自宅でもできる口腔内ケア
1. 歯ブラシ
子供の歯ブラシの選び方
お子さんの手の発達が未完成な小学校低学年までは仕上げ磨きが必須です。その際の歯ブラシの選び方について紹介します。仕上げ磨き用の歯ブラシは以下の3つが大切です。
- ヘッド(歯ブラシの毛がついてるところ)が小さい
- 毛が短い
- 毛が柔らかい
お子さんがご自身で使う歯ブラシは上記の3つに追加で、グリップ(持つところ)が短く、太めのものを選ぶのが良いで
大人の歯ブラシの選び方
毛の硬さについては、特段の理由がなければ「ふつう」が適切です。「硬め」は強く磨きすぎてしまうと、歯が削れてしまったり、歯肉を傷つけてしまう恐れがあります。歯肉炎や知覚過敏が強く、痛みがある場合は「やわらかめ」を使用するのが良いです。ですが、毛先が柔らかいと汚れが取れていない感覚がして、磨く圧が強くなってしまう患者さんもいるので磨く圧には気を付けましょう。
- 極細タイプの歯ブラシ
最近は毛先が極細になったタイプの歯ブラシが数多く販売されています。極細毛は細かいところまで毛先が届きやすいのですが、毛先が柔らかく、刷掃効果が低くなるため、磨く回数(動かす回数)を多くして補う必要があり、清掃効率が悪くなってしまいます。特に理由がなければ、毛先は平坦なものを選びましょう。 - ヘッドの大きさ
ヘッドの大きさは小さいものは細かいところまで磨けますが、ブラシが当たる面積が小さいのでちゃんと使用しないと磨き残しが出やすいです。歯磨きが苦手な方は満遍なくブラシが歯に当たってくれる、ヘッドが大きものを使用すると良いです。 - 迷われたらご相談ください
患者様のお口の中や状況にもよりますので、歯科医師や歯科衛生士に相談して、適切な歯ブラシを選択することをおすすめします。
正しい歯ブラシ使い方、ブラッシングについて
しっかりと磨いたつもりでも、細菌の塊であるプラーク(歯垢)が残ってしまう場合が多くあります。プラークの溜まりやすい場所を知ることが上手なブラッシングの第一歩です。歯垢が付着している場所が一目でわかる染色液を使うのも有効な方法です。
汚れが残りやすい場所
- 歯と歯の間
- 歯と歯茎の境目
- 奥歯の噛む溝
- 前歯の裏側
- 一番奥歯の後ろ側
ブラッシングの方法
- スクラビング法~一般的な歯の磨き方~
歯ブラシを歯に直角に当て、左右に1~1.5cm位(歯2本分)の範囲で細かく動かします。歯を1本1本丁寧に磨きましょう。少しずつ歯ブラシを動かし、同じ場所を歯ブラシで10往復させましょう。 - バス法~歯周病予防の磨き方~
歯茎に対し、歯ブラシを45度の角度で当て、歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)の中に毛先を入れます。細めの毛先の歯ブラシを使用し、歯ブラシを細かく左右に動かします。この時、歯ブラシは鉛筆を持つように握ります。強く当ててしまうと、歯茎を傷つけたり、知覚過敏が出やすくなってしまうので注意しましょう。
2. フロス
フロスとは
フロスは、歯と歯の間や歯と歯ぐきの間の隙間に挟み込んで歯垢や食物のかすを取り除くために使用する歯科用具です。歯間ブラシとは異なり、フロスは細い糸状のもので、手で保持し、歯と歯の間を掃除することに適しています。フロスを使うことによって、普段の歯磨きだけでは届きにくい部位を効果的に清掃できます。特に歯間や歯ぐきの間に溜まった歯垢を取り除くことで、歯周病やむし歯の予防に役立ちます。
フロスの使い方
- フロスを約30cm程度の長さに切り取ります。
- フロスを中指と薬指に巻き付け、親指と人差し指でしっかりと保持します。
- フロスを優しく歯と歯ぐきの間に挟み込み、軽く押しながら上下に動かします。
- 歯と歯ぐきの間にフロスを挿入する際、歯ぐきを傷つけないようにやさしく扱います。
- 全ての歯の間を掃除し終えたら、使用済みのフロスを捨てます。
フロスは定期的な歯のクリーニングに加えて、日常の口腔ケアに取り入れることで、より健康な口腔状態を維持するのに役立ちます。歯科医師や歯科衛生士による指導を受けることで、正しいフロスの使い方を学ぶことができます。
ホルダー付きタイプ
ホルダーがついているフロスはとても扱い安いです。通常のフロスが使いづらいという人はホルダー付きのフロスを使用しましょう。歯と歯の間に入れる際に無理やり入れてしまうと歯茎を傷つけてしまうので優しく挿入しましょう。
フロスが必要な理由
歯ブラシによる清掃だけでは58%しか汚れを落とすことができないと言われています。そこで補助用具であるフロスを使用することで、86%まで汚れを取ることが可能になります。虫歯や歯周病が発生しやすい歯と歯の間は歯ブラシでは届かせることができません。フロスを通すことによって、歯と歯が接触している部分の清掃を行いましょう。
子供にもフロスって必要?
子供にもフロスは必要です。子供の歯でも、歯と歯の間や歯と歯ぐきの間にも歯垢や食物のかすが溜まる可能性があります。歯間ブラシや歯ブラシでは届きにくい部分をフロスで清掃することで、歯垢の蓄積やむし歯、歯周病の予防に役立ちます。
フロスを使うことで、子供の歯の間の清潔さを保ち、歯垢を除去することができます。これによって、子供の口腔内の健康を促進し、歯と歯ぐきの病気のリスクを低減することができます。フロスの使用には、子供の年齢や発達段階に合わせた方法を選ぶ必要があります。歯科医師や歯科衛生士に相談し、子供に適切なフロスの使い方を学ぶことをおすすめします。また、子供がフロスを使う際には、親が指導し、適切な技術を教えることが重要です。
一般的には、子供がフロスを使い始めるのは、永久歯が隣り合うように生え揃う約6歳から8歳頃が推奨されます。しかし、子供の口腔状態や発育によって異なる場合があります。定期的な歯科検診によって、子供の口腔の健康状態を確認し、フロスの使用のタイミングを決定することが重要です。
3. 歯間ブラシ
歯間ブラシとは
歯間ブラシは、歯と歯との間などの狭いスペースのクリーニングに使用される歯科用具です。通常、細いワイヤーまたはプラスチックの柄に、ブラシ部分が付いています。歯間ブラシは、歯間に溜まった食物のかすや歯垢を取り除くのに効果的です。歯ブラシやフロスでは届きにくい細かい隙間や歯と歯の間を掃除することができます。また、歯間ブラシは歯周病の予防にも役立ちます。歯間に溜まった歯垢は、歯肉の炎症や歯周ポケットの形成に関与し、悪い影響を与える可能性が高いです。歯間ブラシを使うことで、これらの問題を予防し、歯と歯茎の健康を保つことができます。
歯間ブラシの選び方
歯間ブラシの選び方には、自分の歯間のサイズに合った適切なサイズを選ぶことが重要です。歯科医師や歯科衛生士と相談しながら、最適なサイズを選びましょう。
歯間ブラシの使い方
- 歯間ブラシの柄の部分を持ち、ブラシ部分を歯と歯の間に優しく挿入します。
- 歯と歯の間に挿入する際、無理に力を入れず、やさしく押し込むようにします。
- 歯と歯の間をブラシで往復させるように動かし、歯垢や食物のかすを取り除きます。歯間ブラシを歯肉に強く当てないように注意してください。
- 歯間ブラシを使用した後は、水で洗浄して清潔に保管します。
※歯間ブラシは歯茎や歯肉の状態によっては適さない場合もあります。歯科医師や歯科衛生士に相談し、適切なケア方法を確認することをおすすめします。
歯間ブラシが必要な理由
歯間ブラシは、個々の口腔状態やニーズに合わせて適切なサイズを選び、適切な使い方をすることが重要です。歯科医師や歯科衛生士に相談し、自分に最適な歯間ブラシの選択と使用方法を確認することをおすすめします。
歯間の清掃
歯ブラシやフロスでは届きにくい、歯と歯の間の狭いスペースに溜まった食物のかすや歯垢を取り除くために使用されます。これによって、歯垢の蓄積を防ぎ、口腔内の細菌の増殖を抑えることができます。
歯周病予防
歯と歯の間に溜まった歯垢は、歯肉の炎症や歯周病の原因となります。歯間ブラシを使用することで、これらの細菌を除去し、歯周病の進行を予防することができます。
歯列矯正やインプラントケア
歯列矯正治療やインプラントを受けている場合、歯の形が複雑で通常の歯ブラシでは適切に清掃できない場合があります。歯間ブラシを使用することで、これらの領域をしっかりと清掃することができます。
ブリッジや義歯ケア
ブリッジや義歯を使用している場合、歯と歯の間や接合部の清掃が重要です。歯間ブラシを使うことで、これらの領域をきれいに保ち、口腔内の健康を維持することができます。
子供に歯間ブラシは必要?
歯間ブラシが必要な方のなかに、歯と歯の間に隙間がある人、とあります。お子さんも歯が生えて、顎が成長すると前歯あたりから少しずつ隙間が空いてきます。歯ブラシの毛先がうまく入らず、歯垢が溜まってくる、歯石がつきやすい、などがある場合は使用しましょう。ですが、歯間ブラシのワイヤーが歯茎にあたってしまって痛みが出てしまうと、歯磨き自体嫌になってしまうことも多いので、無理に使う必要はありません。
他にどんな歯科治療をお探しですか?
静岡市葵区の歯医者「池田デンタルオフィス静岡」では、再治療が少なく、長期的に安定する治療を提供します。
日本の歯科治療は、痛みを取り除く治療(対処療法)は得意ですが、問題の原因を解決する治療(原因療法)は苦手な傾向にあります。当院では、問題の原因を解決する治療で、お口の中の状態を長期的に安定させることを目指して治療を行います。