インプラントのリスク

インプラントのデメリット

01

外科処置が必要になる

インプラントは顎骨の中に人工歯根(インプラント)を埋め込み、歯を支える治療法です。そのため、歯ぐきを切開する外科処置が必ず必要になります。そのため、外科処置による腫れや痛みが出る可能性があります。患者さん(骨や歯ぐき)の状態によりますが、骨を増やす必要があるなど、複雑な術式が必要な場合には腫れが大きくなりやすいです。逆に、単純な術式で対応可能な場合には腫れや痛みは出にくいです。

02

治療期間が長くなりやすい

インプラント治療は短くても3ヶ月程度かかります。これはインプラント手術前の検査や、インプラントが骨と結合するための期間を待つ必要があるためです。骨を増やす治療が必要な場合は半年以上、インプラント治療前に自分の歯の治療が必要な場合は1−2年の治療期間が必要になる可能性があります。

03

治療費が高額になる

インプラント治療は全て保険外の治療なので治療費が高額になります。インプラントの本数が多かったり、複雑な術式が必要になる場合にはさらに追加の費用が必要になる場合があります。

インプラント治療を受ける際のリスク

インプラント治療は噛み合わせを回復するためにとても有効な治療法ですが、リスクも存在します。インプラント治療で起こる代表的なリスクを紹介します。

術後感染のリスク

インプラント治療は顎骨内にインプラントを埋入する必要があります。外科手術なので傷口からの感染が起きる場合があります。また、骨を増やす処置などを併用した場合には感染しやすくなります。ソケットリフトなど上顎洞に影響する処置を行った場合には、インプラントが原因の上顎洞炎が起きることもあります。感染によりインプラントが骨と結合しないこともあり、その場合には再度手術が必要になります。これらの感染を防ぐためには厳格な衛生管理が必要です。

神経損傷のリスク

インプラント治療では神経を損傷するリスクがあります。特に下の歯の奥歯はインプラント治療に影響が大きいです。下顎の中には下顎管という神経や血管が通った管があります。下の奥歯にインプラント治療をする場合にはどうしても下顎管との距離が近くなるため、細心の注意を払って治療にあたる必要があります。C T上で神経の位置を確認し、サージカルガイドを使用してインプラントを埋入することでリスクを下げることができます。

インプラント破損のリスク

インプラント治療が終わり、歯(上部構造)が入った後にインプラントが破損することがあります。インプラントは複数の部品に分かれているので破損した場所によって対応が変わります。歯の部分や中のネジが破損した場合には、歯の作りかえやネジの交換で対応可能です。顎骨に埋入したインプラントそのものが破損した場合には、骨の中のインプラントを撤去し、再度埋入する手術が必要になります。インプラントの破損を防ぐためには適切な噛み合わせをを付与することが重要です。

インプラント周囲炎のリスク

インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病になることがあります。インプラントに起きた歯周病をインプラント周囲炎と言います。インプラント周囲炎が進行するとインプラントの周囲の骨が溶けてしまします。これにより歯茎が下がったり、最悪の場合インプラントが抜けてしまいます。インプラント周囲炎にならないためには毎日の歯磨きや、定期的なメンテナンスが必要です。また、インプラントの歯の部分が清掃しにくい形にならないよう、インプラントの埋入位置や、歯の形を十分検討してから治療をする必要があります。

インプラント治療を受けない方がいい人について

インプラント治療は有効な治療法の一つですが、それぞれの患者さんの状態によってインプラント治療を行うかどうか慎重に判断する必要があります。

年齢

一般的に高齢になると全身疾患を有する割合が高くなるため、外科治療に対するリスクになります。循環気疾患や脳血管傷害がある場合には、インプラント治療の適応を慎重に判断する必要があります。健康状態は個人差が大きいので術前に精査する必要があります。
若年者の場合は顎骨の成長が完全に止まっていない場合があるので、治療後にインプラント治療を行った部位と天然歯の位置がズレる場合があります。

喫煙

喫煙はインプラント手術後の治癒と予後に対するリスクです。喫煙者は粘膜に慢性炎症が存在し、粘膜の治癒不全が起こりやすいです。そのため、非喫煙者と比較してインプラント治療の成功率が低いと言われています。

糖尿病

糖尿病はインプラント埋入手術、予後に対するリスクです。糖尿病の人は傷の治りが悪くなったり、インプラントが骨と結合しにくい可能性があります。また、インプラント周囲炎も発生しやすいです。

骨粗鬆症

骨粗鬆症はインプラント埋入手術、予後に対するリスクです。骨粗鬆症の人は骨が弱いため、インプラントと骨がしっかりと結合しない場合があります。また、骨の吸収を抑える薬を使用している場合には、インプラント治療により骨が腐る(顎骨壊死が起きる)場合があります。

この他にもインプラント治療に関連する様々なリスクが存在するので、術前に歯科医師とよく相談して治療を受けることをお勧めします。

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