「過去に根管治療で強い痛みがあったから不安……」
「歯医者で根管治療が必要だと言われたけど、神経をとるのは怖い…」
根管治療に対して、上記のような不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。とくに、過去に強い痛みを感じた方は、不安になりますよね。
しかし、昨今の根管治療は以前よりも技術が進歩しているため、痛みを最小限に抑えられます。
本記事では、怖いと感じる根管治療を安心してうけていただくために、施術内容や痛みを抑える方法について解説します。記事を参考に、安心して治療に臨むための一助としてください。
根管治療とは?
根管治療とは、虫歯が歯の神経まで達した際に行う治療法です。この治療では、神経の通る管(根管)の組織を取り除き、歯の根をキレイにします。
「神経の治療」や「根の治療」とも呼ばれ、神経がある歯への治療を「抜髄」、神経がない歯への再治療を「感染根管治療」と呼びます。目的は歯の内部を清潔にし、細菌を減らし、再感染を防ぐことです。
適切な治療により、神経が失われた歯でも機能を回復できます。
よくある根管治療が怖いと感じる理由
根管治療について不安を感じる人は多い傾向にあります。例えば、以下のような声があります。
- 治療が痛そう
- 治療が長く続きそう
- 歯の感覚がなくなりそう
- 歯が脆くなりそう
- 初めての経験で何をされるのかよくわからない
- 過去の根管治療で痛い経験をした
- ちゃんと治るのか不安
初めての治療や過去に痛い経験をしたのであれば、このような不安を感じて当然です。しかし、現代の歯科医療技術の進歩により、多くの問題は最小限に抑えられるようになっています。
根管治療は本当に必要?必要な症状とは?
虫歯が神経まで広がってしまった場合、根管治療は避けられません。怖いからと放置してしまうと、さらに菌が内部を浸食し、痛みが強くなってしまいます。最悪の場合は、抜歯が必要になる恐れもあります。
では、根管治療が必要になるのはどのような症状なのでしょうか。主な3つの症状を解説します。
歯髄炎
歯髄炎は、歯の神経(歯髄)が汚染されて起こる炎症です。歯髄は歯に栄養と水分を供給する重要な器官ですが、虫歯の進行によって炎症を起こすことがあります。
なお、歯髄炎には2種類あります。
- 可逆性歯髄炎:回復の見込みがある
- 不可逆性歯髄炎:回復の見込みがない
不可逆性歯髄炎は自然に良くなることはないため、根管治療(抜髄)が必要となります。
歯髄壊死
歯髄壊死とは、放置された歯髄炎によって歯の神経(歯髄)が死んでしまう状態を指します。以前痛んでいた虫歯の痛みが突然なくなった場合、歯髄壊死の可能性があります。
神経細胞の死滅により、一時的に痛みが消失することがありますが、これは良い状態ではありません。
放置すると感染が広がる恐れがあるため、壊死した歯髄を除去する必要があります。
根尖性歯周炎
根尖性歯周炎は、放置された歯髄炎や歯髄壊死が進行し、炎症が歯の根の先(根尖)まで広がった状態を指します。この段階では、細菌感染が拡大し、歯の根元に膿が蓄積します。
主な症状は、下記のとおりです。
- 噛むと痛む
- 疲れている時や体調が良くない時に痛む
- 断続的な強い痛み
- 歯ぐきに膿を含む白いニキビのような出来物
この状態まで進行している場合は、根管治療が必要です。
安心して治療を受けられる根管治療の適切な技術とは?
根管治療は、最新の治療や確かな技術を用いて行えば、適切に治療できます。これにより、多くの不安も払しょくできます。
以下は、当院でも実施している根管治療の方法です。それぞれの役割について解説します。
ラバーダムを用いた成功率の高い治療
根管治療の成功率を高めるために重要な役割を果たすのが「ラバーダム」と呼ばれるゴムのシートです。治療中に歯の内部への細菌侵入を防ぐために使用されます。
ラバーダムを使用した適切な処置を行うことで、治療の成功率は約90%に達すると言われています。一方、ラバーダムを使用しない場合、細菌侵入のリスクが高まり、成功率が低下します。
マイクロスコープを用いた精度の高い治療
マイクロスコープは、根管治療の精度を大幅に向上させます。通常、歯の内部を直接見ることは困難ですが、マイクロスコープを使用することで、歯科医師は歯の内部を詳細に観察できます。
これにより、歯質を過度に削ることなく、汚染物を確実に除去できます。従来の、感覚と経験に頼る方法と比べ、より精密で効果的な治療が可能です。
ニッケルチタンファイルを用いた最小限の切削
根管治療において、歯の内部の細菌除去は重要ですが、過度な切削は避けるべきです。そこで「ニッケルチタンファイル」が役立ちます。
ニッケルチタンファイルは歯の形状に合わせて柔軟に曲がり、最小限の切削で効果的な治療を可能にします。従来の手作業による方法と比べ、より迅速かつ精密な処置が行えます。
ニッケルチタンファイルの使用により、歯の構造を最大限に保存しながら、効果的に感染を除去できるのです。
バイオセラミックを用いた根管充填
根管治療後は、清浄化された根管を適切に充填する必要があります。この過程で役立つのが「バイオセラミック」材料です。
バイオセラミックは、歯の内部の隙間を効果的に埋め、細菌の侵入を防ぐ優れた特性を持っています。さらに、殺菌作用も備えており、再感染のリスクを低減します。また、生体親和性が高いため、従来の材料よりも体に優しいという利点があります。
根管治療の「怖い」を解消するために当院で意識していること
根管治療を「怖い」と感じる、または初めての方に対して、当院では以下を意識して行っております。
- 麻酔の痛みを最小限に抑える工夫
- 治療内容を丁寧に説明
具体的な内容について、以下で解説します。
麻酔の痛みを最小限に抑える工夫
痛みに敏感な方や歯科治療に不安を感じる患者さんのために、当院では麻酔の痛みを最小限に抑える以下の工夫を行っています。
- 表面麻酔の使用
- 細い針の採用
- 薬品注入速度の調整
- 温めた薬品の使用
これにより、「そもそも麻酔が怖い」という不安を解消し、リラックスした状態で根管治療を受けていただけます。
治療内容を丁寧に説明
根管治療に不安を感じる方や過去に痛みを経験した患者さんのために、当院では丁寧なカウンセリングと説明を大切にしています。治療内容を詳しく説明し、患者さんの不安もお伺いします。
以下に、よくある相談と回答をまとめました。
Q
根管治療で痛かった経験があって怖いです…
麻酔をしっかりするので基本的に治療中の痛みはありません
Q
治療に回数がかかるので通うのが大変です…
当院であれば、1~2回の治療で終わります
Q
根管治療って何をされているかわからないので不安です。
マイクロスコープで撮影した治療前後の写真を見せることで、「何をされているかわからない」という不安を解消します。
患者さんに安心して治療を受けていただけるよう努めていますので、根管治療に不安を感じる方はぜひ一度ご相談ください。